先日、口唇口蓋裂のお子さんを出産したママさんのブログを拝見しました。
分かる分かる〜あ〜分かるぅ〜〜とあの、なんだっけマツコ・デラックスさんが集めてるあの牛の…おきあがりこぼしじゃなくって、あれ…あれみたいになってました(諦め)
さて、私のマイスウィートサン9ヶ月も口唇口蓋裂でこの世に生を受けました。
誰もそんなふうに産みたかったわけじゃない、でもそう産まれてきたのは仕方ない。
できることを全部やることは健常児として生まれてきても口唇口蓋裂で生まれてきても変わらない!
そうやって不安な気持ちを抑えて臨んだ口唇裂手術の話を備忘録として書いておこうと思ったのに、手術前夜のことまで書いてそのままになっていました。
まだ記憶の新しいうちに書いておこうと思います。
口唇裂の手術とひとくちに言ってもいくつかのやり方(縫い方?)があるそうで、息子の場合はまっすぐ縫うのではなくて、少しずらして縫う方法で手術をしていただきました。(曖昧すぎる)
手術の前の日は比較的落ち着いて過ごしてくれた息子。絶飲食の時間も寝て過ごしてくれたおかげでそこまで苦労することはありませんでした。
朝、術衣を持って看護師さんがベッドへ。
絶飲食の時間や流れを確認して、小さな息子にぶかぶかの術衣を着せます。
あんまりぶかぶかすぎて、着ているというより包んでいる有様。
こんなに小さい息子が、今から1人で手術を…とぐぐぐっと切なくなりましたが、私がいくら息子を愛していても私が治してあげられるわけじゃない。産まれたその日から見てくれてる先生を信じる、と決意を新たに術衣姿の息子を抱っこしたのを覚えています。
(術衣ぶかぶか。そんなところも愛おしい)
そして時間になり、息子を抱っこして手術が行われるフロアへ。
息子のかかっている病院は古い建物を順次新しくしているところで、入院病棟から手術するフロアまでゆっくり歩いて6~7分はかかる距離。
同室のお母さん方にエールをいただき、息子を抱いて看護師さんの案内の元、おしゃべりしながらゆっくり手術室へ向かいました。
なんだか体の芯が冷えてるような怖いような感じがして、顔も強ばっていたように思います。
手術室がいくつも並ぶフロアの前で手術担当の先生と合流しました。
手術室で待っていても良かっただろうに私と息子が不安だろうから、と迎えに来てくださったそうで、本当にほっと一息でした。
手術室に入るための帽子を息子にかぶせて、なぜか写真を1枚 笑
大あくびの息子。うさぎちゃんのお口の写真はこれが最後になりました。
いつもの空気でやりとりをして、少しだけ肩の力が抜けたところで、いざ、手術室へ。
他にも今から手術を受けられる患者さんがたくさんいて、緊張感で私は首筋がちりちりしていたんですが、息子はご機嫌に先生に笑いかけてました。
君、これから全身麻酔よ…??
手術室にはとんと縁のなかった私。
ドラマで見ていたような広めの部屋に手術台がぽつんとあって、その周りに器具や装置があって、ちょっと上の窓から別の先生が見下ろしていて…(青い照明たきがち)
なんてことはなく、通るのにちょっと苦労するような装置と器具置きの隙間を通って手術台へ。
息子を手術台へ寝かせると、最初はぽかんとしつつも、看護師さんや先生が笑いかけてくれるからにっこにこの息子。
全身麻酔が効くまでは手を握っていていいとのことで、私も息子の手を握ってにこにこと話しかけます。
先生と看護師さんが器具や装置を確認して、息子の口に麻酔のマスクが被せられます。
息子も顔になんかつけられた!!と大泣き。息子をなだめ、お腹をとんとんと叩いていると、ものの1、2分で息子は夢の中へ。
お母さんは退出して大丈夫ですよ〜と看護師さんに言われ、息子の手を離したのですが、なんだか、もう本当にこの時は泣きそうでした。
寂しくないだろうか、痛くないんだろうか、大丈夫なのか、お医者さんたちを信用していないわけではないし私に何か出来る訳でもないのに離れがたくて。
「がんばって」と寝ている息子に声をかけて手術室を出ました。
手術は3時間ほど。
前日お昼に入院して、翌日10時過ぎに始まった手術なので、私もまだ入院生活に慣れておらず、ずっとソワソワしていました。
息子が戻ってきたらぐずったり痛がったりの対応が大変になる可能性があるから、その間にお昼を済ませておいた方がいいと伝えられたのですが、何も食べられませんでした。
何もしないでいる時間を作ると息子のことが心配になってしまうので、持ち込んでいたSwitchで桃鉄をして時間をつぶしました。
伝えられていた時間より30分ほど経ったころ、看護師さんからお迎えに行って欲しいと言われました。
どんな状態なのか、痛くないかとはらはらしながら手術室へ向かい息子と対面しました。
口元には大きなテープが横に貼られ、鼻の辺りには少し血がこびりついています。
息子は口蓋、歯茎、そして唇から鼻の中まで裂けている片側完全口唇口蓋裂なので、今回の手術では唇を縫い合わせると同時に鼻の底を作って貰いました。
手術をした方の鼻の中には鼻の形が崩れないようにチューブが入っており、これが抜けないように気をつけて欲しいとの注意がありました。
手術した鼻が気になって触ってしまう子も多いそうで、肘に動きを抑制するカバーをつける事になりました。
息子の場合は鼻もですが、それよりも点滴を取ろうとすることが多くて、そちらも大変でした…
(以下写真がありますが、鼻にはモザイクをかけています)
「さっき起きたところですよ〜」
と先生に促されて移動ベッドに寝る息子に顔を見せると、それまで泣いていたのに私の顔を見て少し泣き止んだのにはびっくり。
「がんばったね」と息子の手を握ると、またか弱く泣き始めたけれど、とんとんしていたらだんだん泣き止んで、動かしにくいだろう口元で微笑んでくれました。
部屋に戻るまでの間にギャン泣きに移行したので、私が抱っこして運ぶことになりましたが、息子の重みとあたたかさに何はともあれ終わってよかった…と安心しました。
部屋に戻ってからも絶飲食(というか痛くてミルクは飲めないだろうとのこと)は続いたので、寝かしつけ。
疲れも当然あったのでしょう、すぐ眠ってくれました。
全身麻酔でとる睡眠とは別物なんでしょうね、不思議。
そのままその日は夕方まで寝て、ミルクも量は少ないものの、その日のうちに飲んでくれました。
口の中には触っていないとはいえ、唇を縫い合わせる手術のあと。痛いだろうに、頑張ってミルクを飲む息子の姿に少し泣けました。
実際、入院中に同じ手術を受けた子とそのお母さんとお話をする機会がありましたが、ミルクの飲みが悪いし、鼻のチューブを触ってしまって出血もあったとか…
夜もそこまで寝ぐずりはなく、術衣で寝たのでもぞもぞしたくらいのもの。本当にこれで終わった…と安心でした。
次の日からは毎朝、処置室に通って薬を分厚く塗って、テープをはりかえるの繰り返し。
(ご機嫌な息子)
鼻のチューブも3日ほどで取ってOKになり、手術から1週間後に抜糸をし、退院となりました。
全部で10日間の入院で同室のお母さんたちと仲良くなれて、お互いの子どもの病状を話したりお菓子やお茶をおすそわけしあったりして過ごせたことで、良い息抜きになりました。
お風呂は20分、洗濯はコインランドリーで、寝るのは息子のベッドの横に着けたシングルの3分の2くらいしかない補助ベッド。
大部屋だったこともありますが、寝ぐずりする息子が迷惑をかけてしまうことも…
でも、お互い様と言ってくれる素敵なお母様たちで励まされました。
小児病棟に入院していたので、先天的な代謝異常で生まれてすぐ入院して半年以上ずっと母子入院をしている方や、小児がんで入退院を繰り返している方もいて、色んなお話をしました。
職業柄、病気の子ども達と接することもあるにはありますが、知っていたよりも大変な世界が広がっていて、その中で毎日楽しみを見つけて笑っている子どもたちが眩しく感じました。
親としても当事者としても大病を経験していない私が何か言うのも思うのも筋違いだとは思いますが、年単位で母子入院をしている方々のご苦労と愛情には本当に尊敬の念をおぼえました。
退院の日、同室のお母さんたちや食堂で一緒になった方たちに見送っていただいて、病室を出ました。
退院後は、
・傷跡がケロイドにならないためのお薬を1日3回、飲み続けること
・傷跡の治りを良くするためのテープと、そのテープを紫外線から守るテープを傷跡に貼ること
・鼻の形が崩れないようにするためにレティナと呼ばれるシリコンの器具をテープで鼻につけること
が必須でした
このレティナが本当に小さいしなくなりやすくて大変でした
幸いにも息子は取ろうとまではしなかったのですが、よだれ過多ため自然と取れてきて、そのまま過ごすこともしばしば…
レティナもテープも薬も術後3ヶ月程度のもので、術後5ヶ月ほど経つ今はもう全てなしで生活しています
気をつけることといえばなるべく傷跡が日に焼けないようにすることくらい。
市販の日焼け止めを塗っています。
今の息子はやんちゃすぎて忘れてしまいがちですが、頑張っていたなぁと改めて思い出します。
さて、そんな私は初めてのコロナにかかり、家庭内隔離されたいところなのですが、狭い2DKかつママべったり2歳とハイハイ無双の0歳がそんなことを許してくれるはずもなく。
夫協力のもと何とか逃げ回ってゆる隔離されてます。
早く治して引越し準備するぞ…!